ライフインベスター 〜人的資産を全額betする〜

30代独身男子が自分に投資して利益を上げていくサバイバルブログ

橘玲氏のトークライブ

f:id:walkingblues:20170707235713j:plain

今日は橘玲氏のトークライブに行ってきました。

本名、写真非公開の橘氏の生の話が聞けるとあって会場には年齢性別問わず多くの人が来場していました。

印象

登場したのは白髪の少しシャイそうなおじさんだった。国家や社会の歪みを鋭く指摘する切れ味のある論調から「タックスヘイブン」の登場人物「古波蔵」みたいなギラギラしたちょいワルな人をイメージしていましたので、あまりのマイルドさにびっくりしました。

そしてマイクを通しても控えめな声で、優しそうなおじさんでした。

内容

幸福の資本論言ってはいけない残酷すぎる真実からの話を中心にでも著書からはちょっと違った角度で語ってくれました。時間にして二時間弱、最後に質問も受け付けていて充実した時間を過ごせました。

人と社会

まず社会を語る上で生物進化論が今考えられる、いろいろな諸説の中で説得力があると思っているとのこと。

それは生物の基本原理は生存と子孫繁栄にあり、人間もまた同じで基本戦略に組み込まれているからで、人類は進化したとはいえやっていることは基本的に変わりはないのではないか。

 

そして長年、子孫繁栄のために組み込まれた基本戦略「プログラム」は意志の力で抗うのはかなり難しい。

それはダイエットだったり、恋愛や性欲だったり誰も実感があるので皆さんご存知でしょうとのこと。 

 

確かに僕ら人類の祖先が生まれて1万年以上。何世代にも渡って多くの戦略が試され適応できなかったものは生き残れなかった。

しかも今は恐ろしいスピードで技術や社会がいろいろ変化している。でも僕ら人類は昔のプログラムのまま生きている、そこにギャップが生まれるのは当然だと思う。

本能

まず生き残るためには飢餓から逃れないと死んでしまう。そのため人間は少しの空腹でも、「ご飯食べろ」「食事を探せ」と頭の中でアラート「警告」が鳴るようにできている。

本来人間は一週間ぐらいは水と塩だけでも生きていけるけど、狩などで生きていた時代では早く行動しないとそれこそ死んでしまう。

だからアラートは早く鳴るようにプログラムされているというわけですね。

 

ただ、今の飽食の時代アラートに従ってファストフードばかり食べていたら、すぐに肥満になってしまう。

 

こんなところにも今の社会と人間のプログラムのギャップがあると話していました。

意識無意識

人の意識、無意識についても今流行りの「VR」に例えて話していた。

橘氏は実際に「VR」を体験してきたのだと言う。

高層ビルから上層階から一本の「板」が出ていて、その先にいる猫を助けると言った「VR」。これを自ら体験してきて、「VR」と分かっていても大変な恐怖を感じたと語ってました。

 

橘氏の上げていた例とは違うが漫画カイジの「鉄骨渡り」

f:id:walkingblues:20170707232752p:plain

これは怖いですよね。

 

「VR」体験コーナーでは隣にスタッフがつきっきりでいるのは、混乱したひとが腰を抜かしてしまうことがあるかららしい。

 それほど、今の「VR」はよくできているとのこと。

 

話はそこから人間の生存本能がどれほど強力かと言う話に。

「VR」だと分かっていても恐怖のあまり生存本能がアラートを異常に発して冷静な判断ができなくなるくらい人間は生存本能が強い。

 

種明かしをして「VR」で落ちても大丈夫ですよと言ったら人は少しは安心できるど、このカラクリを知らないと誰でも冷静な判断はできなくなる。

 

いじめや社会で追い込まれている当事者に「そんなものは一時的なものだよ」と言ったところで人の生存本能がアラートを出し冷静な判断を奪ってしまうから、周りの声は届かない。

学校にいかければいいとか、住む場所や職場を変えればいいとか、そのアドバイスすらも冷静に受け入れられない。

だから、人は無意識を意識でコントロールすることは並大抵ではない。

 

ひとが怪しげな投資話などに乗ってしまうのも、無意識で自分は特別だと思っているからであり、その無意識をマーケティングなどでは狙ってくるのですね。

 

未知のと接し方

続いて話は人の行動タイプの話に。

人は今のまで触れたことのないものに対して

新しいものが怖い「ネオフォビアneophobia」
新しいものが好き「ネオフィオリアneophilia」
の二つのタイプに別れると言う。
 
例えば原始時代に、我々の祖先が空腹で何か食べなければ飢えて死ぬかもしれない状況があったとする。そこに「キノコ」があってそのキノコが「毒キノコ」なのか「しいたけ」なのかわからない状況があったとする。
そこでの選択肢は二つ。
「毒かもしれないけど食べる」「毒かもしれないから食べない」
 
そして我々の祖先は「しいたけ」を食べて生き延びたかもしれないし「毒キノコ」で死んでしまったかもしれない。
逆に「しいたけ」だったのに食べずに結局餓死したかもしれない。
 
僕らはその選択をしたどちらかの末裔で、大きく分けると思想が「リベラル」「保守」に行動としてわかれると言う。
 
この二つは生存戦略が違うから、どんなに議論を交わしてもなかなか交わることができない。しかも、お互いそれで今まで生き残ってきたわけでどちらが正しいかと言うことも言えないので永遠に議論に決着はつかないだろうと。
確かに生き残るためにはどちらも時に正解で時に不正解だったので、どちらが正しいとは言えない。
 政治の問題が難しいのはこんなところにもひとつ要因があるとのこと。
 
ただ、「知識社会」と言われる現代はネオフィリア「新し物好き」が統計的には豊かになっているとのこと。
新サービスや新しい情報を積極的に取り入れることで、以前の方法より様々な点で効率的になり結果として富を増やしてく可能性が高い。
原始時代であれば、新しいものに飛びついてそれが「毒キノコ」であったり、新しい場所を開拓してそこに猛獣がいたらそこで終わりだったが、現代はサバンナではないのでよっぽどのことがない限りは命を落とすことがない。
 
確かに今は失敗したからといって命を取られることは稀ですよね、現代は「リスクを取らないリスク」もあるかもしれない。

幸福になるためには

そして話は「幸福の資本論」で書かれていた話へ。

人生のポートフォリオを作る上で

「お金」「やりがい」「人の繋がり」これらを分散させておくことが大事ではないと改めて説いてました。

「天災」や「災い」「失業」や「退職」「離婚」や「人付き合いの破綻」人生様々リスクがある。

それらリスクを分散させておくことで、一つがダメでも他の二つがあればダメージは少ない。

そして、選択肢を多く持つことでひとつを失った時にも冷静な判断を取れるような人生設計をしておくことが大事だと。

 

あと、どうしても深刻な危機だった場合は人間の本能がアラートを出し冷静な判断を奪うから、まずはその状態を脱出(離れること)すること。

例えば「金銭」の問題であれば経済合理的な考え方をすれば、いくら不景気や貧困の問題を抱えるこの日本においていくらでも脱出する方法はあるし、飢え死にすることも稀である。そう、それでもまだ日本は諸外国(どこかの独裁政権なのかな)に比べれたら日本に生まれてきているアドバンテージはあるのだからとも語っていました。

 

その上で冷静に判断し自分にとっての幸福の条件考え、リスクを分散すると良いのではないかと。

これは「幸福の資本論」に書いてある通りの内容でした。

まとめ

まだまだ話はたくさんあったけど僕なりにまとめると

 

今の社会と人間のプログラムはミスマッチが多く、とても生きにくい世の中になっているかもしれない

でも、

その仕組み(人の認知能力や本能が引き起こす行動)を知っていると知らないのでは大きな違いがあり「人の本能」をわかった上で自分と上手に付き合おう。

 

無意識をコントロールすることは難しい、ただ状況を俯瞰して「カラクリ」がわかれば人は混乱しない。

逆にいうと何かに追い込まれて、異常なアラートが出ているときは冷静になれるまでその場を一旦離れること。

異常なアラートは人間本能(プログラム)が起こしているという状況を認知、認識することで違った打開策が見つかるのではないか?

 

僕らはこれからもいろいろな選択をして決断をしなければいけない。
ただその時、人の生存本能が未知への恐怖からアラートを出してくる。
最適な人生のポートフォリオを作ってしっかりリスクを分散させておくことで、心の余裕が持ち、恐怖の「カラクリ」をしっかり認識して行動をしよう。
 
「知識社会」ではあまりに保守的は発想は不利になることがある。
 リスクを取らないリスクもまた同じくらいある。

 平均寿命や社会福祉の状況を見ると長く働き続ける社会が来るはずで、どうせならやりがいのある仕事を見つけよう。まだまだ先は長い遅くはない。

 そんな感想でした。

最後に不満をひとつ挙げるなら、橘氏は普段トークライブをあまりしないので、マイクを使う機会がないのでしょうが、資料を見る時に時々オフマイクになり聞き取れないことがありました。唯一そこだけが少し不満でした笑

 

walkingblues.hatenablog.com

 

 

普段顔の見えない橘氏の生の声が聞けて、とても参考になりました!